ニコチンは農薬登録抹消の毒

ニコチン。

喫煙者のみならず、広く一般に知られる物質ですが、

一般的に煙草という別の製品に含まれる形で広く流通しているために、

これが、即効性の非常に強い神経毒性を持つ

といことはあまり知られていません。



半数致死量は人で0.5mg～1.0mg/kg。

簡単に言えば、あの青酸カリの倍以上の毒性を持つ

ということになります。



こんなことから、乳幼児などの誤飲による事故の危険性は広く言われ、

また、それを水に溶かした水溶液は、

害虫駆除または虫除けの効果があることが知られています。




近年では、焼酎が『特定農薬』として登録が話題になりましたが、

実は、この『ニコチン』も日本において、

農薬として使用されていた時代があったそうです。



１９４８年１０月３０日に『硫酸ニコチン』の名称で正式に農薬として登録。

植物に対しては無害で、即効性の殺虫と殺卵効果を持ち合わせており、

特にアブラムシ、グンバイムシ、スリップス、毛虫、アリに効果を発揮。

対象の神経を異常な興奮状態にして死へと導くそうです。



国によって推奨された時期もあったそうですが、

一方で人畜に対する影響は甚大で、

１９８０年２月には、この系統の農薬は国内産、輸入物も含め、

全て登録抹消となっています。




しかし、強い殺虫能力を生かすべく、その後も国内外で研究改良が重ねられ、

日本特殊農薬製造（株）という国内の会社が、

イミダクロプリドという新しい殺虫剤の開発に成功します。



現在は、イミダクロプリドは

この同系統のアセタミプリド、ジノテフランなどと合わせて、

ネオニコチノイド（つまりはニコチン農薬の改良版）と呼ばれ、

２００５年１０月の段階では、日本を含む１１６カ国で農薬登録されています。



しかし、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、

『硫酸ニコチン』ほどではないにせよ安全性が問題が指摘されており、

２０１３年９月１２日にＮＨＫクローズアップ現代などの報道によれば、

ネオニコチノイドの影響により、

北半球の４分１のミツバチの大量死・大量失踪。


国内では、この農薬の影響で赤トンボが絶滅の危機に

直面していると言われています。





更に、心配されるのは人への影響です。


東京女子医大講師・平久美子医師によれば、

『ネオニコ系殺虫剤のヒトへの毒性は有機リン系とほぼ同等』


人間が摂取すれば、

脈の異常、指の震え、発熱、腹痛、頭痛、胸痛、短期の記憶障害。

胎盤を通過するから、妊婦が摂取すれば胎児が影響を受けると指摘しています。




他にも、脳神経科学者、黒田洋一郎氏は、

ネオニコチノイド系農薬は発達障害の原因

になっている疑いが濃いと示唆。


２０１０年には、発達障害の一つ「ＡＳＨＤ（注意欠陥・多動性障害）」

の一因となっている可能性がアメリカの研究グループによって

発表されています。





これを受けて、ＥＵ諸国は、

研究データの因果関係はハッキリしないとしたものの、

暫定的に、２０１３年１２月より２年間、

ネオニコチノイドのＥＵ全域で使用を禁止。


一方、日本では自治体単位での使用自粛の動きがあるものの、

国としては規制には至らず、環境保護団体からは非難の対象なっているようです。




しかし、驚くことにこれとは別に

危険ゆえに農薬の登録を抹消されたはずの

『煙草から抽出したニコチン農薬の作り方』は、

園芸向けのホームページなどで、紹介されていたりします。


摂取量によれば、人間すら死に至らしめるのですから。

もちろん、その害虫効果は絶大です。


しかし、その効果にばかり注目するのは、

正に『生兵法』。


更に言えば、ニコチンは特定農薬に指定されておらず、

農業として使用すれば、農薬取締法に違反する可能性も出て来ます。


色々な意味でのお怪我に、ご注意くださいね。



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