恐怖の独裁者スターリンの象徴

ロシアにこんなブラックジョークがあります。



ある日、スターリンは長年愛用していたパイプが

無くなっていることに気づき、

秘密警察の長官に犯人を捜すように命じた。


しかし数時間後、無くなったパイプが見つかったために

スターリンはすぐさま長官に電話をした。


スターリン「君に面倒をかけたけど、パイプは見つかったよ」

長官「それはよかったですね。しかし全員が盗んだことを認めたものですから、

　もうすでに１０人を銃殺にしました。。。」



これが実話に基づくものかは分かりませんが、

スターリンに政権下においては、

特に違和感がある話ではなかったようです。


スターリンは、国をナチス・ドイツの侵攻から防衛。

五カ年計画などの計画経済や農業の集団化を導入して、

ソビエト連邦を大きく発展させた一方で、

『ひとりの死は悲劇であるが、万人の死は統計でしかない。

　愛とか友情などというものはすぐに壊れるが恐怖は長続きする』

という国民の命を軽んじ、粛清の恐怖による独裁圧政を行った国主。



犬が吠えて煩いから散歩していた飼い主の老人を処刑。

目を逸らすのは何か企んでいるからだと部下を処刑。


大粛清の名の元に、裁判による処刑は約１００万人。

強制収容所や農業集団化により死亡した人数は約２０００万人。


現ロシア政府も大部分を認めており、

この数字はナチス・ドイツのヒトラーより１ケタ多く、

歴史上最も人を殺した独裁者として知られています。




スターリンは１８７９年１２月９日に、

現在のグルジア（ジョージア）で靴屋の息子として生まれました。

兄たちは幼児のうちに亡くなっているため、長男として育てられますが、


父から当時のロシアでは「しつけ」とされていた、

鞭打ちなどの激しい暴力を受け見かねた母に連れられ家出。

しかし、今度はその母から暴力を受けたとされます。


更にスターリンは７歳の時の天然痘を患い、顔は醜くあばただらけ。

１２歳までに２度馬車には撥ねられて、

その後遺症で左手が麻痺していたと言います。


ヒトラーも同様に実の父親から酷い暴行を受けており、

同じ時代を生きた独裁者は似たような経緯で、

歪んだ性格を持つようになったのかもしれません。


スターリンは、

１０歳の時にグルジア正教会からの推薦を受けて初等神学校に進むなど、

幼い頃から優秀だったようですが、この頃からマルクス主義に傾倒し、


１８９６年にマルクス主義のサークルを組織。

１８９８年にグルジア社会民主党に入党。


１８９９年には学校をやめ、社会主義指導者レーニンと出会い

ボリシェヴィキ（ロシア社会民主労働党の左派の一派）に参加すると

１９１８年のロシア革命のために尽力し、

やがてはレーニンの影響下で

ソビエト連邦共産党書記長などの重職に就きます。



しばらくして、指導者であるレーニンは、

暗殺未遂事件の負傷の影響から健康を崩し死期が近づきますが、

スターリンの性格を見抜いていたのか、

彼を『自分の後継者にはしないように』と遺書に記したそうです。


しかし、スターリンはレーニンの死後、

党でジワジワと権力の基盤を築くと、

１９３４年からの『大粛清』をもって実権を掌握。


記録によりますと第１７回党大会では、

１９６６人の代議員中１１０８人が逮捕され大半が銃殺刑。

中央委員会メンバー１３９人中１１０人が処刑か自殺を強要。

赤軍（当時のロシアの軍隊）においても、元帥５人中３人、

国防担当の人民委員代理１１人全員、最高軍事会議のメンバー８０人中７５人、

軍管区司令官全員、陸軍司令官１５人中１３人、軍団司令官８５人中５７人、

師団司令官１９５人中１１０人、准将クラスの将校の半数、

全将校の４分の１～半数が粛清されたというから驚きです。



ちなみに、この頃ロシアで生産が始まったのが巻タバコ「ベロモル」。

これは、収容所の囚人によって建設されたスターリン白海・バルト海運河に

ちなんで名づけられたもの。

スターリン自らが喫煙者であることから、タバコ産業が保護されたことを

窺い知ることが出来るでしょうか。



そして、スターリンと言えばパイプの印象が強く、

そのパイプのレーニンの形見と言われていますが、

一説によると、パイプ喫煙を行ったのは公式の場だけであって、

普段は巻きたばこを吸っていたという話もあります。



何のためかと言うとプロパガンダ。

つまりはスターリンのイメージアップを狙った宣伝です。


実は同じようなことを、あの連合国軍最高司令官マッカーサーが行っていました。

単純に見た目が格好がつくからです。



よく嫌煙家の方々は『ヒトラーは煙草を吸わない』と誇らしげに言いますけど、

実は晩年は禁煙しましたが、元々彼は１日４０本以上を吸うヘビースモーカーですし、

それ以上に、処刑を行ったスターリンも、

ヘビースモーカーでかつトレードマークはパイプだったりします。


愛煙家さんたちがこぞって悪役としてヒトラーばかり焦点を当てて、

スターリンを逆に英雄視する向きもあり、

やはり長い物には巻かれろ、勝てば官軍ということなのでしょうか。



更に言うのなら、

ナチスの禁煙キャンペーンの指導者は戦後すぐさま暗殺され、

同時にアメリカからおよそ４億本とも言われる紙巻きたばこが

不法にドイツに持ち込まれたと言われています。


無論、独占的に売るためだったようです。


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